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2005年08月24日

_ カオス

たまには私の専門のことを書きましょう。

私は数学の一分野である力学系というのを研究しています。名前だけ聞くと 物理のように思えますがれっきとした数学です。その内容は「決定的な系の漸近挙動 を調べる」です。もっとうけの良い言葉を使うとカオスと呼ばれるものに ついて調べるのがその内容です。

で、この分野について私の見聞きしたことによると、「どういう場合に複雑な現象 が生じるか」ということはそれなりにわかってきています。「そういう現象が 無視できないくらい存在する」ということも言えます。その複雑さが確率的挙動と して現れるということもわかってきています(つまりその複雑さゆえランダムな挙動 をしているように見える、ということです)。「複雑な現象」、つまりカオスを数学的に 定義しようという試みもある程度できています。

しかし、その複雑さ、つまりカオスとよばれるものが単なるランダムとは どう違うのか、その違いはどう重要なのか、カオスが何を生みだし ているのか、についてはほとんどわかっていません。何を考えなければならないのか すら見当が付いていない状態だと言えます。この分野の人々が「カオス」といった 場合、単に「複雑である」といっているにすぎない場合が多いです。 カオスが存在する、ということは言えるのですが、カオスが存在するから これこれという現象が生じる、とかは数学的には言えないのが現状のようです。

カオスというと何か深遠なことを言っているかのように思えますが今のところ 単に「複雑だ」以上のことを言ってはいません。

で、数学以外の分野でもカオスとか言っている人がいますが、彼等は一体何を 言っているのでしょうか。「何かよくわからない複雑な現象が生じている」と 言っているだけなのでしょうか。それだったら良いのですが、それ以上のこと を言おうとしている人々がいるように思われます。なにか怪しげだなあ、と 思います。そりゃカオスじゃなくてランダムだ、と思えるようなことも あったりします。

結論としては、力学系分野の特に複雑系に関する部分はまだまだ多分野への 応用は難しそうだなあ、と。


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